Joint Commission International (JCI) 認証取得・更新継続支援プログラム

JCI認証支援実績

足利赤十字病院(初回取得 2015年2月7日)

 2014年4月1日にJCI認証取得本格準備kick off宣言。爾来、小松本院長先生のリーダーシップの下、職員一丸となって準備の結果、2015年2月7日に認証取得されました。その10ヶ月間に亘る準備の流れを概観します。

フェーズ1 (2014年4月~5月) 基礎準備期
・14 Working Group (WG) 本格始動
・4月から5月にかけて、早朝Web conferenceを開催。足利赤十字米国PHCをTV電話回線で繋ぎ、評価基準(Standard)の意図(intent)を確認した。


全15回にわたり6時から開催されたconferenceは、JCIのミッションである患者安全と質向上の具体的意図を明確に理解する上で有効であった。全幹部はじめ組織横断的に毎回100人を超える参加は、JCI認証取得に向かって求められる多職種連携への意識高揚にも寄与した。

・JCI評価基準書と実践現場との相違(Gap)を自ら特定する自己評価(Self-assessment)実施
・特定されたGapへの対策にWGがリーダーシップを発揮し、改善対策立案、実施、評価、改善、いわゆるPDCAサイクルを導入し、組織への定着を図る


院内文書の整備&JCIが要求する文書(案)準備 (英文で求められている文書は英訳)

フェーズ2(2014年5月~7月)Mock survey (模擬審査)準備期
・Quality Indicator (QPS) への準備
国際患者安全目標(6評価項目;患者識別、口頭指示、ハイリスク薬の管理、手術時の部位確認、手指衛生、転倒転落)
臨床指標領域(患者初期評価、検査、放射線、手術、薬剤、麻酔・鎮静、輸血・血液製剤、患者記録、感染管理等)
経営管理指標(サプライマネージメント、患者層と臨床診断、ファシリティマネージメント、満足度調査、病床利用率等)
・PDCA実践(現場での”Story”蓄積)
・問題点・課題の特定(模擬審査時での確認事項の整理)
・模擬審査時のプリゼンリハーサル
・Mock 審査員 関連宿泊、食事(アレルギーほか趣向)手配
・Mock 通訳手配


フェーズ3(2014年7月22日~26日)Mock survey(模擬審査)本番
審査員3名(医師1,看護師1,管理者1)、通訳6名体制で、5日間実施。


PHCが審査員選抜も含め模擬審査全体をまとめた。
 JCIプロセスガイド(雛形)に示されている第1日目予定に沿って実施:


(7時45分~8時)審査を進めるにあたっての事務的な打合せを、審査員、病院のJCI事務局、通訳間で実施
(8時~8時30分)病院幹部と審査員間で表敬挨拶
(8時30分~9時15分)「病院のサービスおよび質改善プログラムについてのオリエンテーション」

これは、審査期間を通じて、唯一病院側より自施設についての総合的説明(アピール)を出来る貴重な機会にて、CEO(院長先生)自らが周到な準備の下、英語でまとめられた。

(9時15分~12時)文書レビュー
準備された文書を審査員は読了。足利赤十字病院がどのように運営管理されているかを掌握し審査期間中の進め方をサーベイヤー間で役割調整。
(13時~14時)「質および患者安全リーダーとのインタビュー」
全審査員 vs. 病院幹部間で、JCIミッションの肝である、医療の質と患者安全に関するトップインタビュー。

(14時~16時)JCIの評価手法であるトレーサー(患者及びシステム)および施設ツアー(訪問)が開始された。審査員もそれぞれの担当分野に分かれ、全病院規模での現場審査本番となった。
(16時~17時)審査期間中、毎日、審査は16時に終了し、その後、審査員から当日の審査結果(特に指摘対象を中心に)講評がなされ、不明な点は、質疑応答がなされた。最後に、翌日の予定が審査員から伝えられ、患者およびシステムトレーサーに必要なデータを、翌朝一番に準備するように指示がなされた。最終日には、審査全体に関する総括講評がなされ、後日書面による報告書が提出された。


フェーズ4(2014年8月~2015年1月)本格集中準備期
・Mock survey報告書を受領
不適合(Not Met) から適合(Met)まで、幅広い評価を受けた。


Not Met評価項目を中心に対策を検討、順次、改善策へと移行した。
・JCI審査手法への対策

患者トレーサー方式は、院内、どこでも誰もが(患者の家族、院内に出入りしている外注業者スタッフを含む)質問を受ける。また、どの患者を対象とするか当日まで判らない。選択される患者は、JCI受審申請書の記載項目でもある足利赤十字の疾病別、外科手技別の多い患者群、ハイリスクの薬剤・機器を使用する患者、空気感染・接触感染予防で隔離されている患者、輸血を受けている患者、ICUにいる患者、明日退院予定の患者等、様々な形で求められる。事前準備は不可能にて、日頃の総合力が試される。

システムトレーサー方式においても、幅広い質問に日頃からの実践が試される。

・感染管理システムトレーサー(院内全体の管理体制、サーベイランス結果とフィードバックとその評価)

・薬剤管理システムトレーサー(薬剤購入から患者に投与されるまでの流れ、そこにおける持参薬の扱い、副作用報告、病棟薬剤師と看護師の連携、新規採用薬の決定・効果判定、退院処方)

・施設システムトレーサー(警備、防火、災害、ユーティリティ体制)

・手術室(空調、陰陽圧、動線、)

・中央材料室(滅菌・消毒・洗浄、室内温度・湿度管理、在庫管理、動線)


これらのトレーサー方式は、2004年から米国Joint Commissionで導入され、JCIの審査員もその運用に通暁しているだけに、この手法を模擬審査で体験しておくことは、本審査を想定する上で貴重であった。特に、現場(フロントライン)から幹部にいたるまで、必ず質問を受けるので、組織上げて、本番に向けての団結力、集中力が目に見えて高まった効果は大きかった。これ以外にも、

・職務記述書と評価(competency および performance)、教育計画(BLS,ACLS)

・特権記述書(privilege)

・カルテ記載(MOI)等


JCIのミッションが求める、医療の質・患者安全向上を継続的に促進する組織の風土を醸成するためには、フロントラインのスタッフからCEOにいたるまで、組織全体が一丸となって日頃から活動していることの大切さを実感する活動である。このような意識が自ずと生まれ、共有されてきた段階で、GLDが求めるGovernanceにも魂が入り、全体会でのWGリーダーのまとめも各々2分間で整理集約され本審査への体制が整ってきた。


フェーズ5(2015年2月2日~6日)本審査
JCI本部(シカゴ)から審査員4名(医師1、看護師2,管理者1)・日程案内等の連絡が本審査2ヶ月前位から徐々に本格化し、緊張の中、本審査当日を迎える。
通訳を交え審査がなされる、いわば、異文化体験の中で行なわれる環境ゆえに、特に、院長先生からは、「全職員が笑顔で迎え、ホスピタリティの心で接し、JCI審査を楽しくやりましょう」との励ましの声で開始された。
審査を受ける側の姿勢として、次のような確認も行なわれた。
「トレーサー時に判らないことがあれば、判らない旨を正直に伝え、中途半端な回答はせず、確認を約束してから対応する」「対応に時間がかかる場合は、その旨、審査員に(中間)報告をする」
「担当医師が呼ばれた際、患者対応で忙しい場合は、その旨を率直に伝える。審査員は、患者優先で審査をすることを叩きこまれているので、患者に影響が出る調整をすることは、審査員が望むところではない。いつ頃になったら、対応可能かを告げての対応とする」
「質問を受けた際に、その内容が理解できない場合は、正確な理解が出来るまで、きちんと質問の趣旨を尋ねる。場合によっては、通訳が正確でない場合もあるので、真摯に質問をすることは重要」
「英語が堪能な職員であっても、審査員には、日本語で答え、周りに参加しているスタッフが共有できるように配慮すること」
「通訳がその専門性を発揮できるように、論理明快、論旨簡潔に話すこと。起承転結を整理し、落ち着いてはなすこと」
「指摘を受けた際に、その意図が不明であれば、その点もしっかり質問し、理解を深める。指摘ゼロを目指すのがJCI審査の目的ではないので、審査員とともに、学ぶ姿勢を常に共有することが大切」
「指摘内容に対し、異なる意見がある場合、根拠をもってその考えを説明し、助言を求めることは好ましい。その目的が、より良い患者安全・医療の質向上を目指す志から出ていれば、審査員との絆が深まる」
「審査中に、日々の冷蔵庫の温度確認のログシートの記入漏れに気がつき、back dateで修正するような些細な行為が審査員の目にとまると、文書改ざんにより、ありのままの審査が妨げられているような誤解を与え、信頼関係を大きく損ねかねないので、現状をそのまま評価されることを常に心がけるように」
このような心がけの下、5日間の審査は終わり、最終日には、審査委員長から全職員に対し講評がなされた。「認定評価基準は充足しており、正式審査結果は、本部シカゴの正式承認を以って通知される」「共に学ぶ有意義な5日間であった」とのねぎらいの結びで終了した。


JCIシカゴ本部より、2015年2月7日付で、JCI正式認定の通知を受けた


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